うるう
itukamitaniji

うるう

ここは終わりと始まりを 繋ぎ合わせる世界
ぽつんと取り残された月が 朝の空に張り付いていた
僕もあれと同じだって 見上げてひとり笑っていた
自分が何処から来て 何処へ向かうのか分からないまま

そうしてたどり着いたのは 存在するはずのない一日

つじつまを合わせるだけの 意味の無い今日だって
確かなことは まだ見ぬ未来へ繋がっているってこと


壊れた時計塔の頂で ひとり街の風景を見下ろして
陽が昇るのを待ち続けた だけど明けることは無かった
時間に置いてゆかれて 何処にも行けなくなっていた
自分が何処から来て 何処へ向かうのか決められないまま

寂しい顔で覗き込んだ 鏡の向こうの本当の顔が言う

大丈夫だよ大丈夫だよ 今に全部元に戻るからって
壊れていた時計の針が 少しずつ音を立てて回りはじめていた


つじつまを合わせるだけの 意味の無い一日が
ずっと繋がっていって どうにか今日にたどり着いた
過去と未来を分かつ隙間に ようやく懸け橋がかかって
長い間立ち止まっていた僕も 日々を超えてゆく

超えてゆく


自由詩 うるう Copyright itukamitaniji 2015-07-01 17:13:35
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