太陽とデニム
オダカズヒコ




耳をふさいだ
魚をたくさん入れたバケツをひっくり返したように
空は近距離で
青かった
今夜あたりが祭りの頂点か?
ぼくは彼女の心を缶詰に入れて
持ち歩きたい気分だった
完全に思考を止めてしまうと
大きな問題が一つ残った
本能を直撃したのもが地面に弾んで
落涙したのだ

四条烏丸通り
車のハンドルを切ると
ぼくは百貨店の中で売買される無数の虚無たちと出会わなければならない
ゆえにこうなのだ
人は恋をすると
禍々しいに死者たちの記憶にさいなまれ
空間を構成するすべての要素と溶け合うのだ
例えば東急ハンズで売られているエッフェル塔のピンナップ
ロフトの三階で染められた4色ボールペンの赤い色の中にいるぼくら
ホテルモントレで
漆喰の壁に挟まった真蛸の群れ
京都の町は放射状にして集落なのだ
あらゆる家が家運の衰退に怯え
金づるを掴み
快楽主義を信仰するエピキュリアンたちが作った村だ

いきている時間だけが人生じゃない
ブードゥ教も仏教も磔のキリストも
君とぼくの血の中に混じり合っているのさ
明美はぼくを見て笑った
たぶん
何も考えずに
そしてたぶん
なにも損ねずに


自由詩 太陽とデニム Copyright オダカズヒコ 2015-06-29 02:16:25
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