安心しすぎた夜
noman

足元が覚束ない
上からも下からも
鋭く冷えた光が照り
つけ
涙があまりにも直線的に流れてくる
その必要はないのに
空気はとてもきれいだ

何も犠牲にする必要はない
薄暗い天井が
安らぎと権威を
持って覆いかぶさってくる
繊維と繊維の
微かな擦過音が
煤けた壁に反射する
その
厳かな響きが
滑らかに冷えた人型の
隙間を通り抜け
バスルームの床を這い
ひっそりと 誰かが洗い
流した記憶に寄り添っている


自由詩 安心しすぎた夜 Copyright noman 2015-06-06 23:54:48
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