夕立の佇まい
岸かの子2

雨が強くなり始めた頃傘も差さずに泣いていたのは
怯える事を忘れかけていた少女の遊び
似合わない化粧と行くあてもない二本の素足が生を感じている
泥がはね、ワンピースも下着も先程までカールをしていた
美しく黒ぐろとした腰までの長い髪も
激しくなりつつある雨に舐めまわされている
少女は虚ろな目をしてなすがまま 濃い化粧と黒髪が溶けては滲む
雨に舐めまわされて溶けては滲む
声も上げずに泣いている
足下には血が流れ
大人になりつつある証拠が少女を侮辱している
このままで居たいのに
このままで居たいのに
夕立が泥を撥ねる決して泥は少女を撥ねないのに


自由詩 夕立の佇まい Copyright 岸かの子2 2015-06-02 00:13:25
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