天体学者
はるな


詩人がみんな
ことばが消え去るのをまっている
画家が黒と白の絵の具を混ぜつづけるように
教師たちは生徒を置いて家へ帰る
神父さまは折れた十字架でシャーベットをすくう
詩人はみんな
ことばが消え去るのをまっていた

天体学者はみた
星の割れるところを
細長い望遠鏡をのぞいて時間をちぢめたさきで
でもいまはもうそれは終っていて
あたらしい細かい星ができるのを目撃するのは
400年後の可愛い子どもたちなのだ
天体学者はみぶるいをして
いまたしかにそこでわきあがっている薬缶を火からおろしてやる



自由詩 天体学者 Copyright はるな 2015-05-21 23:26:58
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