風の歌
藤原絵理子


夕暮れの都会は ブルーに沈む
ビル街は華やかに さざめき始める
イルミネーションに飾られた 水の中を
お洒落した熱帯魚が行き交う 笑い声と


ビル街の吐き出す熱気が 淀んでこもる
取り残された公園は 荒れ果てた廃墟に
時計仕掛けの物乞いが 発条を巻いている
侘しい音は草むらの中へ 裸のバービー人形に


一日の終わりに 胸を撫で下ろして
新しい風が吹くのを 待っているだけ
タッチパネルを擦って 果てしない暇つぶしを


列車の来なくなった 貨物駅で
消し忘れられた 蛍光灯は悲しい 
ありふれた朝の 光の洪水に埋もれる


自由詩 風の歌 Copyright 藤原絵理子 2015-05-16 22:47:46
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