とんがり石とクッション
服部 剛

一番支えてほしい人が
勇気づけてほしい人が
悪気もなく「空気でできたとんがり石」を
僕の胸に投げつけた

「グサッ!」と刺さる鈍い音で
傷ついたのに君を妙に気遣って
ひきつった 笑顔の奥に 背中丸めて下を向く
ゆううつな気分の僕がいる

夕暮れ時の交差点
クラクションの音を背にひとり歩く
胸の奥は ひり ひり 痛み
傷口には 消毒できず バンソウコウも貼れず
僕のまあるい心に空いた小さい黒穴に
すきま風はピューピュー吹いて
人並みの寂しさに震えています

いつからか 空いてしまったこの穴を
   
  君に埋めてほしいなぁ
  あたためてほしいなぁ
  僕の全てを包んでほしいなぁ・・・

だけどその前に・・・
君が僕に投げつけた
「空気でできたとんがり石」を
形のままに受けとめる
クッションになれたらいいなぁ
 
  神様のような
  仏様のような
  本物の愛にはなれないけれど
 
僕は人の弱ささえ愛おしむ
やわらかさに なりたい






自由詩 とんがり石とクッション Copyright 服部 剛 2003-11-09 01:47:01
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