ターミナルにて
Lucy
駅前ターミナルに到着しようとしていた
路上に杖をついた高齢の紳士が
窓のすぐ下に見えた
彼の進む先には確かにバス乗り場があるが
そこが人の歩くべき路でないことに
既に気付いたのか
ほんの少しずつしか動かない足で
懸命に横断しようとしているらしい
険しい表情
数歩先が
果てしなく遠く
バスは彼を上手に避けて
次々にカーブを曲がって行く
父かもしれないと思った
父が既に亡くなったことを
一瞬忘れて
自由詩
ターミナルにて
Copyright
Lucy
2015-05-15 22:07:40
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