船乗り
やまうちあつし
とある船乗りがいて
心に窓を持っていた
長い航海を終えて
陸に上がると
海の上はもうこりごり
これからは陸の上で
のんびりと暮らすんだ
なんてぶらぶらしていたが
しばらくすると
窓が開く
そこから潮風が吹き込んで
いてもたってもいられなくなり
やはり出奔してしまう
あちこちの港町で
そんな手のひら返しをするものだから
女たちはすっかりあきれてしまう
猫たちは尻尾を振って快哉を叫ぶ
自由詩
船乗り
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やまうちあつし
2015-04-30 12:12:07
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