個人教授
藤原絵理子
きみの真っ直ぐな眼差しに あたしは
耐えられなかった 大人のふりをして
夢みたいなこと言っちゃだめ なんて
夢を見たかったのは あたしのほうなのに
あたしは臆病だっただけ
子供から玩具を取り上げた時のような
気分になるのを怯えていただけ
あたしなんかより…
少し幼さの残る きみの広い背中が
薄紅色の風景に 溶け去っていくのを
フランス映画のヒロインになって 眺めていた
街は暮れなずむ 青の底に沈んで
風に乗ってきた 花びらが転がって
駅のホームで戸惑っている
自由詩
個人教授
Copyright
藤原絵理子
2015-04-29 20:51:23