ひとつ うずみ
木立 悟





横たわるものと
立ちつくすもののあいだの霧
とどまるもの
落ちるもの
波のない海に
輪をつくるもの


空を追うつぼみ
変わりゆくものから痛みは去らない
口の内にあふれる髪
花に沈む首


くりかえし光を打てば
痛みはすべて己れに返り
雨の後の沈黙
消えかけた羽の渦ばかり


枝に触れるたび
枝になる肉
新たな花を夢みている
金緑の涙を見つめている


何かが聞こえ
水の光に目をつむり
ひらいたときには忘れている
指の底の名と声を


花は滴
満ちてもひとり
風の終わりへと
歩いてゆく

























自由詩 ひとつ うずみ Copyright 木立 悟 2015-04-26 23:09:22
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