自己主張
イナエ

玩具売り場の前から幼児の泣き声が
人の溢れた地下街広場に響いて
若い夫婦の困惑が子供を叱る

幼児と親と対立する主張は
地下街の雑踏を立ち止まらせ 
黙らせる

  己の主張が通らないことを
  知った幼児の不満と困惑

この爆発した不幸を担いで若い父は階段を上る
体中から発する自己主張は地上に連れ去られ
雑踏は笑みを潜めて再び動き出した

  今 わたしに
これほど真剣に己を主張をすることがあるか
  辺りを見回し 無理だと思えば閉じてしまう

あの幼児も何時か欲求を己の中に閉じ込めて
忘れさせてしまうのだろうか
それが大人になるということだ
としても


自由詩 自己主張 Copyright イナエ 2015-04-16 11:16:58
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