黒犬のドリア
チアーヌ

犬と合コンをした
わたしはちょうど
冷蔵庫の犬を食べ尽くしたところだった
新鮮な犬はいい
最初はお刺身にして
次はドリアにして
それからシチューにして
しばらくは楽しめる

右側から
ドイツ・シェパード君
ドーベルマン君
柴犬君
ビーグル君
アフガン・ハウンド君
コリー君

個人的にはシェパード君がタイプだったのだけど
競争率が高そうだったので
面倒になってしまった
犬なんて
無理して手に入れるほどの
ものじゃない
だから
たまたま隣に来た
ビーグル君とお話して
時間をつぶす

合コンが終わったので
わたしは電柱の上に飛び上がり
夜空の星を見上げる
鋭い爪と
嘴が
わたしの武器
明日の夜はドリアを食べたい
黒犬のドリアを

少し離れた地上に降りると
そこにはもう誰もいない
灰色の石畳
ひんやりと冷えた空気
わたしはゾクゾクする
わたしは暗がりで黒犬と出会う
闇にまぎれる黒い黒犬
ああ
あなたはすてき
わたしの喉笛をかき切ろうとしてる
その目がすてき

でもわたしにも
するどい爪と
嘴と
いつでも飛び立てる羽があるから
そうそう簡単にやられたりしないよ
それよりも
わたしの爪に
気をつけて
すてきな黒犬
明日の晩御飯にできるかな

お腹いっぱい食べたいの
最初はお刺身にして
次はドリアにして
そしてシチューにして
それから
それから


自由詩 黒犬のドリア Copyright チアーヌ 2005-02-08 09:36:46
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