ぺんぎんの浪費癖
竜野欠伸

ほとんど同じ
服しか着ないのに
ストレスが溜まると
服の買物へとはしる
ぺんぎんがいる
広い海には百貨店があって
青空を飛べないぺんぎんは
翼を使って海を泳いでいく
飛べないことを
まるで悲しむように
大空を翔る翼を
買物できないからと
想っていて

角部屋にある
クローゼットのなかには
着ることのない服と
持つことのない鞄と
履くことのない靴で
いっぱいになっていて
ぺんぎんは嘆いている

もう絶対に買わないと
口ずさみながら
今夜もまた宅急便が届く
ぺんぎんの住まいには
ネットショッピングで買った
雑貨が届いている

ほとんど南極では
服も鞄も靴もいらない
ぺんぎんの仲間たちも
服も鞄も靴もさほどいらない
ぺんぎんは
翼のない寂しさを
埋めるために
今夜もまたインターネットと
にらめっこを始める

海のなかにある
アパレルのブティックで
働こうとした夢は
南極にある氷山のように
暑い夏に溶けたり
寒い冬に凍りついたりを
繰り返している

反省を忘れたぺんぎんは
誰もが寝静まる真夜中に
鏡と一緒にファッションショーを
そおっとする習慣があって
婚約しているぺんぎんに
助けを求める
見張りをお願いしたつもりで
こっそりと隠れながら
再び買物をしてしまう
翼で羽ばたくまねをしながら


自由詩 ぺんぎんの浪費癖 Copyright 竜野欠伸 2015-04-13 01:16:49
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集