さくら
南無一


桜舞い散るバス停の
ベンチに 二人座って
いつまでも 空を
見上げていた

いくつものバスを 見送っても
少しも
かなしくなかった

風に散りゆく 桜花
あとから あとから
たえまなく 落ちてゆく
まるで よく出来た手品のような 花吹雪
二人飽きもせず 見とれていた

花のかおりに つつまれて
年に一度の お花見を
ぼくらは あと
何度つづけられるのだろう?

さくらさくらさくら
さくら咲く日の よろこびと
さくらさくらさくら
さくら散る日の かなしみと

さくらさくらさくら
さくら咲いては すぐ散りはじめ
よろこびとかなしみの織り成す 花吹雪

あなたの頬に はりついた
桜の花の ひとひらに
小鳥のように
くちづける



自由詩 さくら Copyright 南無一 2015-04-08 15:55:03
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