まことしやかな嘘
藤原絵理子


嘘をついているつもりじゃない
都合のいい部分だけを繋ぎ合わせたら
彼女の話になる 騙すつもりじゃないのに
暖かくて居心地のいい 四角い部屋


田舎の家に帰りたい
思いは増殖して 連鎖反応を起こす
「早く帰っておいでよ」 携帯の向こう
無責任な知り合いの一言で 脳がメルトダウンする


夢を見ていた 夜半の月は
そよとも吹かぬ風に しん と霞んだ
鏡になった池のおもてに 散り落ちる花


眠れない夜 カーテン越しに 洩れ入る
薬が投げる かすかな波紋は すべもなく闇に
悲しい恋の行方を 見届ける


自由詩 まことしやかな嘘 Copyright 藤原絵理子 2015-04-05 22:56:55
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