春告鳥
そらの珊瑚

さっき買ったばかりの
ペチュニアの苗にあった
つぼみが
うらうらとした
ひなたの中で
もう咲きかけている

そうやって
ほどけ始めた
濃紫のはなびらは
見せかけより何倍も
ふくらんで
惜しみなく浴びようとする
惜しみなく生きようとする
おひさまとの
約束を思い出したのだろう

お成り
お成り
なんにでもお成り
いつだって風は呑気だ
けれどもわたしはもう知っている
たったひとつしか選べないことを
そういう
約束

まるで脚本通りのように
天使うぐいすの声がして
すぐさま耳は
カタカナに変換してゆく


自由詩 春告鳥 Copyright そらの珊瑚 2015-03-29 11:15:11
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