鷺と鴨
ただのみきや

一羽の鷺が 
  ふわり 弧を描き 
    降り立った 見えない川辺 

出来事との距離は
程良く 霞となり
コンマ何秒か遅れ
波紋は伝う
  記憶の水面を

現実よりも
純白に燃えて立ち
翼憩わせる 天啓

一羽の鴨が
  印象に 恋をする
    騙されることは織り込み済み

飛ぶことも忘れ
川底に潜る 色石を咥え集め
モザイク画のイコンを作り続けている
いつの日か 己の骨で添うためか

騙されていることは 
  織り込み済みなのだ
    恋とはそうゆうもの

カモのまま わたしは
モザイク画のサギを解き放つ
騙したいからではない
    騙されてほしいから



           《鷺と鴨:2015年3月21日》






自由詩 鷺と鴨 Copyright ただのみきや 2015-03-21 11:28:14
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