楽園
石瀬琳々

忘れてはまた思い出す白い馬スノードームをわたしの冬よ


赤い鳥、涙する日も喜びもわたしに巣食う淋しささえも 


現世うつしよを壊すくらいに濃青こいあおの翼が欲しい君との恋の


そっと君齧った檸檬黄に染みていつかわたしの月となりゆく 


来世きたるよを見たいと漕ぎ出すみずうみに黒い瞳のさびしいあなた 


夜想曲ノクターン薄紫の痣に似るすみれの花よ胸にまつわる


春の目覚め、風も言葉も脱ぎ捨てて森に散らばるみどりの鱗


くちびるをやがて重ねて薔薇色の暁君の愛も知らずに


花が咲いて笑う君の目のなかに楽園がある黄金がある





短歌 楽園 Copyright 石瀬琳々 2015-03-19 13:33:03
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薊道