遠吠え
ヒヤシンス
ラムネのガラス球に己の姿を投影する。
それは映るか映らないかの刹那の希望であった。
希望は行為である。
ガラス球には変形した己の色が映し出されているのみであった。
私はその色に未来を見出そうと眼光鋭くそれを眺め続けた。
それは時に鮮明に、時に瞳を潤すかのように淡く揺れていた。
私はそばにあった蝋燭に火を点した。
ガラス球の表面が一気に赤く染まった。
静かな夜に存在の忘却を思考した私は
これはいけない、と、慌てて蝋燭を吹き消した。
ガラス球の表面に青白い闇が映った。
それから私は書棚に詰め込まれているあらゆる詩人たちの詩集を読み漁った。
人間のあらゆる思考や感情が張り巡らされていた。
ガラス球に目を向けると、そこにはくっきりと二つの瞳が浮かび上がっていた。