変色カメレオン
日々野いずる

乳白色に明るい空を見て
あの時はまだ青だったと言った
その背中はしっかり曲がっている
髪も目も灰色に染まっていて

天まで届けと願ったブランコ
この足の先さえ青にかかれば
跳んで跳ねてゆけると思った
幼いがゆえの愚かさ

群青色に染まる街並み
ゆっくりと暗色に沈んでいき
黒に見えなくなる
その瞬間をきっと切り取っても
取っておけずになくなってしまう透明

誰もが同じざわめきを通り
誰もが同じ感傷に浸った
それを馬鹿にするものも数人いて
毎年繰り返される輪廻のような
あの桜と快晴は私の表面を撫でていき
思い出の一つになった
しかし
どうやって確かにあったと言えるのだろう
あの頃は幻想に霞んでいて
見通せない白色

同じ服を脱ぎ捨てて色々に着替えていった
年月はその色を抜き去ってしまって
残り滓はうちやられ
灰になってしまった
灰になってしまった


自由詩 変色カメレオン Copyright 日々野いずる 2015-03-04 08:15:15
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