三角
瑞海




壊れてしまった南京錠と
僕は向き合っていました
狭い煉瓦造りのアトリエで

それは遠くにあったもので
時が近づけました

掌には
トンカチとドライバと

これはこれは大変だ
可哀想に、ぐちゃぐちゃだ
直してあげようね
少し痛むかもね
涙脆いね 冬だからね

冷たい部品が
暖かさに包まれて
同化してゆく君を見る
僕はどうかしているな

ある日
窓に張り付いた鍵は
錠と僕を見つめていた

窓から救い出して
そっと手にとった時
鍵は手をすり抜け
錠の穴と
ぴったり
かちっと音を立てて
繋がった

金の粉になって
2つ(1つ)は消え
僕の孤独が決定した



自由詩 三角 Copyright 瑞海 2015-02-11 23:17:27
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