血を十九年
奥畑 梨奈枝

血を十九年垂れ流して
肌という肌から血を吹き出して
信じられるだろうか
俺は毎日死ぬような思いで
血を吹き出して倒れている
大袈裟か
お前らに耐えられるのか
俺は文字通り毎日大量の血を流して
心と体にあらゆる種類の痒みを覚え
吹き出る血 爪に詰まった皮膚片
痛みと痒み
痒みと痛みと恍惚を
一遍に感じながら
お前らに一生かけても流せない血を流して
俺はこの十九年間、いや二十二年間
死につづけ生きながらえた
この確固たる事実を踏みしめ
誰にも認められない当たり前の偉業を
心と体の異形を魂に変換し
俺はいとも簡単に熟していける
秩序の中で人に愛されていく
俺の存在は偉業であり
俺は永遠に異形なのだ


自由詩 血を十九年 Copyright 奥畑 梨奈枝 2015-02-02 22:17:12
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