影踏み
梅昆布茶

今日も街を行き交うひとびとの影を踏んで歩く

一瞬にして微塵に還るもの
止めどなく細く長く伸びるもの
軽く薄く風に舞うもの

ときどきそれさえも無い人に出会うが
それも街の雑踏の風景の一部に組み込まれて行く

人はそれぞれ自分の言葉という特別なコードをもつという
たぶんそれは存在と繋がっていて

そのほつれの一端から紐解いて行くことでしか
その人に近づいて行くことはできないのかもしれない

影は夕暮れちかくには混ざり合いひとつの闇となって
この夜を形成するものか
やがて朝露とともにそれぞれの居場所へと
戻るものだろうか

ざわめきや願いや恐れの影に雪が降りつもる
やがて影の無い白い世界が現出するまで

そんな夢を見た





自由詩 影踏み Copyright 梅昆布茶 2015-01-30 18:31:55
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