カイカイカイカイ
……とある蛙

君が左腕を僕に差し出す。

痒いの、掻いて

君は右手が使えない

痒いのだが右手で掻けない

僕は指を立て君の左腕を掻く

とっても白い左腕を指で掻く

掻いている間中

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

君に気持ちよいかと尋ねると

うんと頷き

掻いている間中

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

と子供のように君はつぶやく

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

左腕の掻いている部分は

点滴の針を刺したところのあたり

採血の針を刺したところのあたり

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

と子供のように君はつぶやく

同じ話を繰り返す
子供のことを心配する
また同じ話を繰り返す
日にちをちょくちょく間違える
そんなことを繰り返す
イライライライラ繰り返す

でもどんな話をするときよりも

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

カイカイカイカイ

と楽しそうに君はつぶやく。


自由詩 カイカイカイカイ Copyright ……とある蛙 2015-01-29 15:50:26
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