がうでぃな さざなみ
るるりら

おびただしい雫という雫が
都市と都市の間で あらゆる物と物の間で
たがいに伴を呼ぶ
満月のような視座で みえないその糸に命を与えようとしている男のポエジは
蜘蛛の意図のよう
雫と雫がつながりは 遠い宇宙の果ての
違う星との雫をも 編み込んでゆく
あら わたしのうでがひかる
わたしの踵やわたしの指先でも
ポエジーが
また 糸を吐き出しているよ

ゆるやかに曲がり
思考の湾曲の設計図は
なまめかしい艶書となり
いまも先端であらたな せいめいせんを結んでいる
聳える楼閣 亜嗚呼 桜陀腑亞実里亞って書いちゃお
うごめき たゆとう正めいせん宇宙の心臓めがけ
そびえろ群像 脈々と鼓動する
ひまつと光

「もう一回いうと がうでぃなんだよ」
おさないわたしのために 風呂場に 魚や蟹の形のタイルを入れて
日本の地中海で おじぃちゃんは いった
お風呂あがりに高台に登って
 「ここは がうでぃに そっくりだ」 と おじぃちゃんはいった
唐戸市場が見えているだけじゃない うみのむこうじゃない ゆけむりのなか
鉄の窯の風呂に木の板を 造船で鍛えた心身をしずめながら
おじいちゃんの話はいつも「もう一回いうと‥‥」で はじまる
すると はじめて聞く話でも なぜか はじめてじゃない気がしてくるんだ

こころをすますと みえない過去からのさざなみ
さあ でかけよう わたしの異郷へ 
じぶんは たぶん たぶんに じぶん以外のひととおなじ
ゆめをみることができる 名もない木こりともおんなじ 
百年千年先の森を想う空を想う海を想う
わたしもでかけてみよう東急ハンズにはあるかもしれない面白い何か
いえいえ誰かじゃない何処からかじゃない 
わたしの胸板から うまれくる森の種は銀色
ぷらちながピチカートを刻むから 
ピンヒールは飛沫し情熱を可視化できる風が吹くよ
ゆれる るるる螺旋の るるる極彩色で踊りだすトカゲがカスタネットを叩けば
ほらもう群生の魚 手足が水に代わり お日様をうけて揮発する私でない私


メビウスリング1月勉強会「ガウディ」に投稿したものを加筆。


自由詩 がうでぃな さざなみ Copyright るるりら 2015-01-29 11:51:01
notebook Home 戻る