はしご
やまうちあつし

まよなかに目覚めて
眠れなくなることがある
ピストルでも撃とうと二階へ
ぼんやり階段を昇っていくと
どうしたことかいつまでもたどり着かない
奇妙に思いながらも昇り続けると
いつのまにか階段は
はしごに
しかもとうに天井を突き抜け
夜空へ向かって伸びている
訳もわからず昇り続ける
はりがねみたいに細い
はしごゆえ
手足の肉球にめりこんで痛い
とうとう正体があらわれてしまった
夜風にひげが靡いてしまった
「長靴を履いてくればよかった」
はしごは
際限なく夜空へ
もう明日の約束なんて気にしなくていい
何も知らずに昇り続ける
だって猫なんだから
はしごを
昇っていくだけのただの野良猫なんだから


自由詩 はしご Copyright やまうちあつし 2015-01-27 14:12:53
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