巴里、骸骨寺で
そらの珊瑚
あなたのみらいのために祈らせてください
そう語りかける女の瞳は
目の前の現実であるわたくしではなく
どこか遠い国を見ているようでした
ミライは
いつの間にか
ミイラにすり変わっていくのです
そうして
容易くわたくしは
まだ見ぬ
いつかは誰もが行く国へ
想像を巡らすのです
ゆるいカーヴに沿って
石畳の歩道が寄り添う乾いた街で
靴の細いヒールをひとつ
台無しにしてしまった頃
雑踏の中で見つけた寺
象牙色の頭蓋骨が
まるでインテリアのように
あちらこちら
壁という壁に
造花のような面持ちで
丁寧に飾られ
わたくしは途方にくれました
はたして あなたがどれなのか
とうてい探せ出せそうもないからでした