つぎの本をえらぶこと、
mugi


まだ、
うまれたばかりの、夜の、
瑞々しい暗色の、
ぬれた線で描かれた物語、
について、ぼくはできるだけちいさな声で、
語りたい、たとえば亡くなったひとの、
骨を拾うように、
そして、
なんどでもくりかえし、
読みきかせては、もとにもどって、
解釈をさけるあしどりの、
くらい雪道に、おもいでさえほりおこせない悴んだ、
指先、身体のうちがわに滲みる時間と、瑣末な、
たとえばガス料金の請求書をながめるような時間との、解離に、
かろうじて、意味の生じている夜に、




自由詩 つぎの本をえらぶこと、 Copyright mugi 2015-01-12 00:02:24
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