パセリ
香椎焚

パセリは苦い
人生のようだ
と、いってみたものの
本当は特に苦いとも思わない
パセリはマリネに入れても美味しい

私が語りえないもの、それは死
死は語る、とこまでも深く
けれどもそれ自体は苦味ではなく
ただ、なにでもない

彼も、パセリを
食べたことがあっただろう
人生のようだと、例えばそのとき、言えただろうか
重大なことを感じたときには
きっともう遅いのだ

レモン入りのマリネは酸っぱい
人生のようだ
と、いっても同じである
真実に届くことはない

そのまま、ぼぉっとなる私は
パセリを粉々にちぎる
    粉々にちぎる
命の尊厳、そんなはかない筈のものさえも
無心で彼に祈りながら


自由詩 パセリ Copyright 香椎焚 2015-01-07 03:35:10
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