ぼや@66丁目
香椎焚

詩がかけなくなりました。
あれほどあふれていたはずの言葉が
きれいさっぱり去ってしまって
現実だけがここに在ります。

ええ、ええ、健康です。
今までにないくらい、正常で清浄です。
なにせ何もしていないのですから。

一日一日、現実を生きています。
今晩何にするかなとか、冷蔵庫にトマトはあったかとか。
進まない仕事にどう弾みをつけるか、とか。
彼と仲直りしよう、とか。

たとえば、きれいな一本道に、枯れ葉が落ちているとします。
すると、ああ落ち葉だ、と思うわけです。
川沿いの夕暮れが美しかったとします。
きれいだなぁ、と感嘆するでしょう。
久しぶりに祖母とテレビ電話をします。
おばあちゃんが好きだなぁ、と実感します。

それだけなんです。
あれ、と思うわけなんです。
なぜそれ以上出てこないのか、と。

日々が過ぎていくので…

これが待ち望んでいた平和でしょうか。
ああ、だのになぜか。
違和感の方がつもってゆき、
この身体が、でくのぼうな気がして、
自分はもう、いなくなってしまったように感じて、
スッと消えたくなるわけです。




自由詩 ぼや@66丁目 Copyright 香椎焚 2015-01-05 06:47:47
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