ひつじに貰った
猫の耳

ドアを開け、外へ出た。
両手を広げ、太陽を浴び、空を抱いてみる。
冬の陽は短いし、弱いから、身体一杯に取り込む。
何だかいい気分。
少しだけ前向きになれる気分がする。

昨日の面接は失敗。
相変わらず俯いてばかりで、思うように話せない。
駄目だなあ。

今朝は、駅までポクポクと歩いて行こう。
後ろから、誰かがついてくる足音がするので、
振り向くと、仔羊がトコトコついてくる。
メエと啼いて笑っている。
羊って笑うんだ?
何だかいい気分。

歩いてたら、身体がポカポカしてきたよ。
コートの前ボタンを一つ外す。
鳥が一羽、青空をスーッと横切っていく。
振り向くと、まだ仔羊はついてくる。
私のお尻を鼻先でツンツンと突いてくる。

少しだけ、少しだけ、
勇気と元気と笑顔を貰った。

それを胸の宝箱にしまった。



散文(批評随筆小説等) ひつじに貰った Copyright 猫の耳 2015-01-02 12:27:17
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