世界の肉を食いに行く a
大村 浩一


水も飲まず
GAMEに耽って
夕方
肩の痙攣が止まらなくなったら
世界の肉をしゃぶりに行く
丸めた汗臭い服を構わず羽織って
液晶に浸かった神経を
引っこぬいて


ものも言わず
誰にも断らず
勝手に来たショッピング・センター
辿りついたらためらわず
豚バラ混ぜたお好み焼きやら揚げ芋
他愛ないごチソウ食べるんだ
いま
ここで


目は食いちぎる
屋台ばかりではなく
八幡様の古い御柱
ワゴン車で来た子連れ夫婦
派手な下着や蒲団の売り場
潰れそうな酒屋
遠くで雪を被った山脈
枯れ木 カラス
液晶の中に無いものぜんぶ
ZENBUU


アイボールセンサーMark.1
油断なくあたりを走査
見えるものは反射的に
目の餌だ
逃げる訳じゃない
逃げたい訳じゃない
逃げたってこの腰の廻りに
重たい世界がついて回る
ぶら下がってる


彼女のはかない望み
肉体と書いてごらん      ※
まさぐる手となって一緒に
動く
きれいな服
よそごとの放火
Jpegになったご神体
ここに居ない君と
誘いあって
監視カメラの視界からはみ出して
世界の肉を食いに行く
世界の肉を食いに行く


※現代詩フォーラム「エリオットしとりあそび」より。
『「肉体」と言ってみよう』はMonk氏発案のギャグパターン。

2005/02/03
大村 浩一


自由詩 世界の肉を食いに行く a Copyright 大村 浩一 2005-02-03 12:44:34
notebook Home 戻る