ファミリーレストラン
北井戸 あや子

ここはレストラン
カジュアルに、さり気なく
気さくに突っ立って、どうぞどうぞと受けいれる
そんなレストラン

年の瀬
親子連れが賑わって
子供が次はひつじさんのとしだね
と黒曜石の瞳をきらきらさせて
ハンバーグを口にする
母親が口元についたソースをナプキンで拭き取れば
おうまさんの色とにてる、とまたわらう
ああ、このうつくしいものもいずれ
美味い味を知るのかな
こんなハンバーグに大喜びなんて出来なくなって
子供のままでいられないなんて
気づいてしまうのかな
それとも早々と
面倒くさいと辞めてしまうのかな
どうでもいいか
僕は来年ハタチになるよ
君みたいな時期も多分あったけど
もう忘れてしまった
僕はもうすぐ時間切れ
イノセントの消費期限偽ったって
バレバレだからお笑いさ
誰も僕を裁かない
汚すしかない自分の手
君もいつかはハタチになるよ
僕みたいにならない事を
今夜もお世話になるひつじさんに
ちょっとお願いしておくよ

またのご来店お待ちしております



自由詩 ファミリーレストラン Copyright 北井戸 あや子 2014-12-29 17:24:34
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