夢の中だけ
瑞海
夜も冷えてきて
歩いて来た道が
どんどん凍りついてゆく
帰れなくするように
悲しくなって
一本道のその先の
海の上を歩いてゆく
魚は悲しそうな目で
こちらを見ている
地平線まで凍ってしまった
世界は止まる
孤独であるから
どんどん目を背けてしまって
もう 二度とは
月昇る時に
瞳を閉じると
掌 熱を帯びていく
辺りは芽吹き
野原が出来て
白い君がここへ帰ってくる
野原に押し倒して
耳元で愛してる、と呟いて
いつも夢から醒めている
そうだ
冷たく暗い海から
僕を引き上げられるのは
君だけなのだ
夢のように
温かく 儚い
綺麗で 醜い
君なのだ