孤独な人
葉leaf




あなたの中を流れやまない
液化した鋼鉄の重さと鋭さが
かつて組織の微細な織り目をうまく満たせなかった
あなたは組織の糸を切ったり駄目にしてしまったり
組織の織り目の綾に鋼鉄の流れを絡めることができなかった
組織を織り成す糸となるには重すぎ鋭すぎた若き日々
あなたはひたすら孤独に空回りしていた
何もかも壊すのは安易すぎた
あなたは組織をうまく織っていく機になろうと
その鋼鉄の流れを沸騰させながら強く誓ったのだった
そうして今あなたは昔ながらの孤独を一層強めながら
その鋼鉄をより柔らかくより軽く鍛え上げ
誰よりも組織の人間を愛し
誰よりも組織の織り目を上手に織り上げる
極めて優秀な機になった
私は今かつてのあなたと同じような
鋼鉄の孤独を抱え
組織を破壊する苦しみと悲しみで葛藤している
あなたは孤独な不良少年が同類に向ける優しいまなざしで
私の孤独に自らの孤独を共鳴させ
私と向き合うことで一層孤独を深めながら
私の鋼鉄の鍛え方を暗示し続ける
私もまたこの鋼鉄の滾りによって組織に絡み付こうと
自らの沸騰を己の彫琢に向かわせている
私とあなたと同じ孤独の持ち主同士
同じように孤独を深めながら自らを鍛え上げ
同じように孤独を深めながら互いに通じ合う
あなたが私の鋼鉄を上手に導き完成させたとき
あなたの鋼鉄はもはや金属であることすらやめ
ただひたすら美しい植物として
独り静かに枯れていくのだろう


自由詩 孤独な人 Copyright 葉leaf 2014-12-21 05:20:07
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