エイハブのこうかい
衣 ミコ


ダイオウイカもクジラも
大きなものが傷付き
浜に打ち上げられている

私たちの乗る小さな船はどうだ
豪華な客室はすべて金持ちのもの
貧しいものはみな
薄暗い船底の食料庫で空な目をして
隣では僅かな金銭を得る為に
娼婦が身体を傷付けている
甲板で女子供を殺している男たちがいる
帆には自らを吊り干からびた死体が並んでいる
楽師はそれに合わせて音を紡ぎ…

誰かが予想していた未来の
ど真ん中を堂々と航海しているおまえが
次に訪ねる陸地で
流れ矢を受け命絶えない事を

祈る
事に何の意味があるのか
分からない


自由詩 エイハブのこうかい Copyright 衣 ミコ 2014-12-18 05:03:49
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