不明瞭の憂詩
北井戸 あや子

夜の寂寞に
つめたくなった血管を
気紛れに溶かす、ぬるい血流
xxxxxx
押し付けられた
拡声器の声に
日常を遺棄し耽溺する男
羊小屋の傍らに伏す
三つの弾丸で飾られた女
絶え間なく啜らせた
赤土の上
世界のどこかで雨が降る
慈愛の味した雨ばかりが降る
xxxxxx
ただ怖い
夜色に
混ざり溶けたい
パラパラと崩れいくこの右脚のまま
曖昧なワルツと戯れ
はぐれみち
百足が
蛇の死骸を
犯している


自由詩 不明瞭の憂詩 Copyright 北井戸 あや子 2014-12-17 23:23:15
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