詩の種
乾 加津也

年を追うごとに減る投稿はあたりまえで、書きつつもこれまで書き溜めた作品を出し続けたから、もうほとんど出せる過去作は残っていない。
前に読んだ石田衣良さんの記事の中に「自分のもっている作品(ストック)は全部出しきって、一から書くべきだ」という趣旨にえらく納得し、最近やっとそうなってきたということ。

さて、詩の種はそこらじゅうに転がっている(はずな)のだが、アンテナが振れない。詩情から詩作品へと昇華しようにも、まず始まらなければ意味がない。
今どんな種を暖めているのだろう。外は冷えてきたからせめてこれから発芽する種に暖かな息を吹きかけてみたい。


奇妙な果実

南部の木には奇妙な果実がなる
葉には血が、根にも血を滴たらせ
南部の風に揺らいでいる黒い死体
ポプラの木に吊るされている奇妙な果実

ビリーホリデイが歌う有名な作品だがわたしは人権問題について自分の思想を直接的に語ったり詩の形を借りて訴えたりはしない。
不謹慎かもしれないが死体を果実と見た認識に興味がある。そうだ、死体は果実である。
人種差別とは別のところで、死体は果実となって風に吹かれなければならない。


ラウンドアバウト

マイルスデイヴィスではない。信号機のない交差点のことである。それでも一定のルールを守る限り事故は起きない。
これこそ不要なものを削ぎ落とした、秩序の簡潔な象徴ではないか。人や車の移動物体は集合離散を繰り返すがそこにラウンドアバウトがある限り公正と効果性が保たれるのだ。人は機械のように交通を制覇すべきだ。
他に尽くすべきエネルギーを傾けるために。


軍艦島

長崎県の島のひとつ。正式には端島というらしい。写真集を購入した。詩を書くために。まだ書いていない。
調べれば調べるほど、湧くばかりで興味は尽きない。生きている間にツアーに参加したい。この目で見てみたいから。
何が詩になるのかって?すべてじゃないかな。島の歴史と時代背景、人々の暮らし、機能、仕事、その他。


おはよう、人類

る さんの作品(のタイトル)。この詩にかなりインスピレーションを受けた。自分なりの作品を書き始めたが終わらない。
推敲の日々。でも年内に投稿できそう。やっぱり年の最後に何かひとつ、自分が満足いくものを残しておきたいよね。今年もなくなっちゃうんだよ。
そうやっているうちに人生も、年と同じようなものだから。


おやおや、ネタの紹介になってしまった。好きなモチーフがあれば誰でも使ってください。ここでどんどん書かれて読まれることがほんとうに大事なのだから。


散文(批評随筆小説等) 詩の種 Copyright 乾 加津也 2014-12-13 23:40:29
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