夜へ 虹へ
木立 悟





鉄が踊る
影は遅れる
枝が踊る
血を流す
花のような葉の
血を流す


器からあふれ出る熱
頬と野外の違いから
不明の土の窪みから
壁と炎が立ち上がるのを見る


曇は星に到くことなく
緑の虹を置いてゆく
蒼の底の ふたつの白
鏡からあふれる指の白


灰の傘をすぼめるように
空は急に縦に遠のき
狭い狭い狭い径を
はじまりと終わりに満たしてゆく


嘴を持たない
むらさきの目に覆われた鳥が
未だ明けない空を見ている
むらさきを梳くむらさきを
見つめている


坂道の上の
荒れた空から
色と声は降りつづく
夜の虹へ
夜の虹へ降りそそぐ



































自由詩 夜へ 虹へ Copyright 木立 悟 2014-12-13 09:19:58
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