ひとつもり
石川和広
今日もくもくも黙って
黙ってこのカラダ働いてるわけでなし
昨日か、そんな言葉は覚えたから
死んだも同然なり
+
あかるい光線がヒット
網膜の選択 くも膜を揺らそうと
私は、焦燥の布団の中で、あたまをふる
そうなの 100,000個の細胞、増殖しては消えて
ひるねの夢の中をぱっちん
なぜ
細胞は増殖しようとしてるけど
舌におできができるほど、その胎児を育てると
ほら、癌と呼ばれてしまう
ホントに漏ってたまらん
充血を発見
寝不足も実験
全ては、ことばから、カラータイマー点滅しますよ
もうしてるよ
チカチカシテルヨ
あきらめなよ
やだよ
あきらめなよ
ひるねの僕は
あの子を奪う
+
つかまえる
わけじゃない
僕のカラダの中に
それは、危険だ
妄言だ
ゲンカイカラダ
ひるねの僕は
あの子を奪い
遠い夜空で、ひとつもり
ああ
ああ
*
僕の血管の中を細胞が、ながる
進化医学によると
早死にが癌の特効薬らしいが
僕は進化に逆らって
増殖し続けることが
この汚れたカラダの仕事らしい
自由詩
ひとつもり
Copyright
石川和広
2005-02-02 14:08:00