みおろふぶき
umineko
気がついたらめちゃくちゃ雪降ってた。まあもともと雪の多いとこで育ってきたんで、ぜーんぜん、ウェルカムなんだけどさ。
ビルの9階から見下ろす街は、おもちゃ箱のようだった。
昔、雪は見上げるもので。こんなふうに見下ろすなんて、考えたこともなかったよ。雪は小さな粒子になって、しきりに窓を叩いてる。
(君を入れてあげるわけには。いかないんだよ悪いけど。)
私は小さく毒づいて、凍えるサッシのシルバーの、雪のひとひらをながめてる。
心がどんなにふぶいても。どんなに窓を叩いても。あの日のあなたは閉め切ったまま。あの日があるから私は生きる。
見届けるために。