みおろふぶき
umineko

気がついたらめちゃくちゃ雪降ってた。まあもともと雪の多いとこで育ってきたんで、ぜーんぜん、ウェルカムなんだけどさ。

ビルの9階から見下ろす街は、おもちゃ箱のようだった。

昔、雪は見上げるもので。こんなふうに見下ろすなんて、考えたこともなかったよ。雪は小さな粒子になって、しきりに窓を叩いてる。

(君を入れてあげるわけには。いかないんだよ悪いけど。)

私は小さく毒づいて、凍えるサッシのシルバーの、雪のひとひらをながめてる。

心がどんなにふぶいても。どんなに窓を叩いても。あの日のあなたは閉め切ったまま。あの日があるから私は生きる。

見届けるために。
 
 
 



自由詩 みおろふぶき Copyright umineko 2005-02-02 09:28:30
notebook Home 戻る