ちがうのか
ドクダミ五十号

やさしくなければにんげんじゃない
私は優しいだろうか

決して優しくは無いと
自己認識した瞬間に
人間としての私が崩壊する

だからと言って
自死を選びはしない

「それって自分にやさしいのとちゃう?」
そうかもしれないが
生きる苦痛と安易な死
どちらが人間の精神に於いて重いか

私は苦痛を選ぶ
何もマゾヒストじゃあないが

「おとうちゃん、すき」
絹毛鼠の十匹
人間的つながりが希薄だとて
シルクの様な鼠を撫でているうちは
幸せなのかもしれない

「ねえ?おとうちゃん?あいじょうぶ?」
「ああ、だいじょうぶさ。それよりいっぱいまんまをおたべ」

てのひらで眠る
愛すべき
この小さな命の
速すぎる鼓動を
感じて
「ごめんね」
と言う

私は酷薄だ


自由詩 ちがうのか Copyright ドクダミ五十号 2014-12-07 14:15:35
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