私を閉じ込めないで
夏美かをる

どうか、私を弄んで下さい
その熱く燃える掌で
私の輪郭を全て辿って
白く滑らかな肌に頬を寄せて
息を吹き掛けて
どうぞ、私の中に入ってきて
わき腹を鷲づかみにして
何度も何度も私を翻して
体中の臭いを嗅いで下さい
轟き続けるこの鼓動を
あなたの全霊で受け止めて下さい
どうか―
私の知らない女からのテキストや
さもしく雑多な画像たちと一緒に
私をギガバイトの闇に閉じ込めないで
お願いだから、
まるで遊女を買うように
気が向いた時だけ呼び出して
冷たく無機質な液晶の上に
私を横たわせないで下さい
たったひとつのこの体を
惜しみなく全てあなたに捧げ
やがてあなたの腕の中で
ゆっくり朽ちていくために
神泉のほとりに佇む
一本の大樹から生まれてきた
一冊の小さな詩集
それが私なのですから


自由詩 私を閉じ込めないで Copyright 夏美かをる 2014-12-01 15:29:22縦
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