この手の先にある空の果て
そらの珊瑚

今、空の底にいます
屈折した光に包まれて
案外うまく歩けています
地図を読むことは
相変わらず苦手だけれど
磁石を温めて
風を読むことが出来れば
目的地にはいずれ
たどりつくかもしれませんし
たどりつかなかったとしても
それはそれで
特別悲しいことでもなさそうです

回遊しながら出会ったポストはみな
お腹を空かせているので
手紙を投函したくなるのです
たとえ宛先不明で戻ってきても
特別悲しいことでもなさそうです

あなたの涙に比べたら
すべての事柄は嘆くほどでもなさそうです

冬の匂いが静かにふりつみ
憂いを基調とした保護色に変化するので
ときおり
あなたに向かって手をかざし
ジャンプします
どうか
見つけてくれますように

その一瞬だけ
わたしを
底が
解放するのです






自由詩 この手の先にある空の果て Copyright そらの珊瑚 2014-11-17 10:40:57
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