宿題をやらない子供に
小川 葉



今日一日が人生だとしたら

今は午後八時だから
八十歳である

九時になったら九十歳
十時になったら百歳

もはや宿題ができる年齢ではない

だからこそ
せめてお昼ご飯を食べた後の
午後一時にやるのがよい

なぜならば
その頃はまだ十歳なのだから

もっとよいのは
宿題は
生まれる前にするのがよい

早起きして
午前中
まだ生まれていない時に
宿題を終わらせているのがよい

そうして人生という休日を
思う存分楽しむのだ

私たちは
眠りにつくことで死に
幽霊となり
またあした生まれかわるのだから

さあ、子供よ
今日の人生が終わる前に
やるべきことを
やりなさい

思い残すことが何もないように

さもなければ
成仏されない幽霊のように
前世を悔やみながら
あした廊下に立っていることだろう

(今時は、そんなこともないだろうけれど)



自由詩 宿題をやらない子供に Copyright 小川 葉 2014-11-09 21:48:00
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