ことのは
大覚アキラ

波立たぬ水面を漕いで行く
誰かの唇からこぼれて落ちた
言葉の破片を掬い取るように
静かにゆっくりと
しかし確かに
前に漕ぎ進んでいく

百年前の詩人が書き記した言葉も
百年先の詩人が書き記すであろう言葉も
ここでは等価だ

等しく価値があり
また
等しく価値が無い

雪が降ってきた
砕け散った言葉の破片が
凍りついてしまう前に
ひとつでも多く掬い取らねば
今できることは
それだけだから


自由詩 ことのは Copyright 大覚アキラ 2005-01-31 18:58:50
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