神よ あんたそれでも神か…
イナエ

注 ここで言う神は特定の宗教をにおける
        神を指すものではない

歩く動作の円滑な筋肉の弛緩収縮
関節を構成する骨の複雑な動き
血液を全身に送る心臓ポンプと酸素供給の連携
呼吸と飲下 細胞の再生と自殺 
どれひとつを取り上げてもヒトが生きていく機能の
精密にして正確な連携作業は知れば知るほど驚嘆する

ある僧侶は 生き物を作ったのは神だ
と言ったが
それが真実ならば神の優れた才能には驚嘆する

その神が どうして食物連鎖を許したのだろう
生き物同士の複雑な関係の調整が面倒で
それぞれがDNAの気の向くままに生きるに任せた
ずぼらな性格だったのか

あなたは言うかも知れない
特定の種が増えすぎないように食物連鎖を取り入れたと 
そこで 個々の生き物は試行錯誤を繰り返し
より精巧な機能を備えた器官へ進化構成させ
環境の変化に対応して日々進化発展したものが
生き残ったのだと…
自然淘汰されるのは 
日々の切磋琢磨を怠った自己責任だと

しかし 単細胞のゾウリムシや アメーバーが
今も生き残っているのはどうしてだ

生きもの同士の殺し合いを許した神は 残忍な性格だったのか
そればかりか 知恵を得た人間が 長い年月掛けて情報を蓄積して
自分たちの喰うべき生き物を専用の場所で育て 
その生き物の食い物も専用の場所で育て
神の取り決めた食物連鎖から抜け出した
神は 自らの知恵と力で環境を整え
生と死の問題を自分たちの手で解決する動物が嫌いか
風や水の力を利用して 生け贄を奪う

日本では 神の機嫌を取って
あちらこちらに依り代を造り 初詣やら祭日やらを設定し 
ひとりひとりがたっぷりの供え物をしてきたのだが
それでも足りないというのか

  山頂に神を祭り
  山岳信仰の拠点とした山で
  選りに選って
  山の衣の美しい季節の 人が最も集まる時間に
  爆発させるなんて
  二・三時間 我慢させれば良いものを
  なんと配慮のないことか

人間いじめは 災害や食い物だけで無く
人間の身体の中に菌を植え付け 
あるいは 死へ導く細胞を発芽させる

なあ あんた
それでも あんたは 生きものを守る神か!

   しかたがないかなあ
   神を創ったのは人間だからなあ…


自由詩 神よ あんたそれでも神か… Copyright イナエ 2014-11-07 12:03:07
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