さよなら鉛筆、トンボ印のちびた秋
るるりら

ミツビシに勤めているのに みつひしと云う父が
三つ菱形があるから、三菱
そんなことを教えてくれたのは、やっぱり
みつひしだったからなんだな

カッターナイフを ぽきん
「これが ひしがた 
ひしの実がとれるところでは トンボが よくでてくるんだよ」
鉛筆で自然を語る父さんの手のなかから 
かつおぶしみたいなのがでてきて おもしろい

べんきょうより 絵を書いたほうが
たくさん えんぴつけずりができるから みるみる短くなって 
父の選んだ誕生日プレゼントは 
短くなった鉛筆でも使えるようにする道具だった

゛みじかくすること以外にも、 なにか素敵なことがある゛
母さんには
わたしの喜びは
わかんない

母さんは いまでは まいにちまいにち
姿を無くした父さんの名前を
母さんは 呼んでいる

私は どんなに鉛筆が好きだったかを
わたしすら 忘れてしまっていた。

私は筆箱に、
真新しい鉛筆を入れたる。


★題名は こうだたけみさんです。
以前ゴルコンダに出しておられたお題ですが 今日書いてみました。

 


自由詩 さよなら鉛筆、トンボ印のちびた秋 Copyright るるりら 2014-11-07 10:01:52
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