ヒール
ドクダミ五十号

貴女は高いヒールだっだ
私はスリップオンだよ
背伸びが嫌いでね
でもさ唇の地面からの高さが
ほぼ等しくなる
好ましい組み合わせかもしれない

路地裏で抱きしめて
唇を合わせる時に
ぽきりと折れたヒール
キッスは終わりさ

其れで良かったのかもしれない
彼女はローファーに変えた
アイビースタイルだとさ
私は膝を曲げるか
腰を折るかして
彼女の唇に近づく必要が出来た

地に足が着いた付き合いに近い
つま先が触れ合い互いの違いを知る
そうして親密な交合が始まるのだ

今は孤独だが
高いヒールを見ると
ぽきりと折れれば良いのになあと
病院通いの駅の階段に杖を突き思う

虚勢を張るのも大変だ
貴女はそのままで充分美しいのに


自由詩 ヒール Copyright ドクダミ五十号 2014-10-30 07:34:05
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